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YOSORO連載子どもとテクノロジー「子どもとお金」の関係性を“カード管理”で高める、スマートバンクの新たな仕掛け
「子どもとお金」の関係性を“カード管理”で高める、スマートバンクの新たな仕掛け

「子どもとお金」の関係性を“カード管理”で高める、スマートバンクの新たな仕掛け

2023.08.15
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10年、20年、さらにその先の日本社会を担っていく“いまの子どもたち”。テクノロジーによって、子どもたちの可能性が広がることで、日本社会はどう良くなっていくのか。連載「子どもとテクノロジー」の第1回に登場するのは、スマートバンク代表取締役の堀井翔太氏だ。

スマートバンクは2022年12月に親子で一緒に支出管理ができるVisaプリペイドカード「B/43(ビーヨンサン)ジュニアカード」の提供を開始している。B/43ジュニアカードは親がチャージした分しか使えないプリペイドカードのため、使いすぎる心配がない。また支払い履歴は親子それぞれのアプリから確認できるため、小さい頃から“お金の知識”を身につけるツールとして、利用する親子が増えているという。

堀井氏率いるスマートバンクのB/43ジュニアカードは、具体的にどのような使われ方をしているのか。また、サービスの提供を通じて、どのような社会の実現を目指しているのか。堀井氏とUXリサーチャーの瀧本はろか氏に話を聞いた。

プロフィール

プロフィール

株式会社スマートバンク代表取締役 堀井翔太

VOYAGE GROUP社(東証一部)へ新卒入社し、最年少で子会社社長に就任。
日本初のフリマアプリ「FRIL」を運営していたFablic社の創業者。2016年に同社を数十億円で楽天株式会社に売却。2018年の退任まで代表取締役CEOを経験。2019年にスマートバンク社を設立。

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ユーザーインタビューの中で見つけた、親子の家計管理のニーズ

──スマートバンクは第一弾サービスとして家計管理サービス「B/43マイカード」を2021年4月にリリース。その1年8カ月後である2022年12月に、親子で使えるB/43ジュニアカードをリリースしています。なぜ、親子で使えるプリペイドカードをリリースしようと思ったのでしょうか?

堀井:創業当初は1人でお金を管理する「B/43マイカード」からスタートしました。その後、ユーザーインタビューを繰り返していく中でペアでの家計管理にニーズがあると知ったのです。そこで、まずは2人で使える「B/43ペアカード」を2021年7月にリリースしました。

このペアカードはアプリ上から共同口座を開設し、その口座に紐づいた専用カードがそれぞれに発行されるという仕組みです。毎月の予算をプリペイドカードにチャージして決済をするだけで、アプリ上にリアルタイムで支出の明細が反映されていきます。この仕組みがすごく好評で、リリース後から順調にB/43ペアカードのユーザー数を増やすことができています。

B/43ペアカードの利用者にユーザーインタビューをする中で、子どもがいる世帯の方から「子どもと共同で使っても大丈夫ですか?」という質問をいただくことが多かったんです。もう少し詳しく話を聞くと、子どものお小遣いをアプリ上で管理したいことに加えて、早い年齢からキャッシュレスに触れさせておきたい考えがありました。

スマートバンクとしても、将来的には家計管理だけでなく資産形成の領域にも進出していきたいと思っています。資産形成自体は単身ではなく世帯で実施していく必要があるので、家族間の家計のシェアに戦略的に入っていく狙いも込めてもB/43ジュニアカードのリリースを決めました。

──海外では「プリペイドカード×アプリ」を軸にした子ども向けの金融教育サービスが盛り上がりを見せています。

堀井:海外で子ども向けの金融教育サービスが盛り上がっていることには注目していました。アメリカ発の「Greenlignt(グリーンライト)」は今やユニコーン企業ですし、イギリス発の「goHenry(ゴーヘンリー)」はフランス発の「Pixpay(ピクスペイ)」という同様のサービスを買収し、大きく成長を遂げています。

日本では家族間のお金のやり取りに入っているFinTechのサービスはそこまで多くありません。だからこそ、“ファミリー・ファイナンス”の領域にもサービスを広げていく狙いもあり、B/43ジュニアカードを提供することを決めました。

子ども同士のトラブル防止、お金の勉強に役立つ

──B/43ジュニアカードはどういった課題感をもとに利用している人が多いのでしょうか?

瀧本:基本的には子どものお小遣い管理の一環として、B/43ジュニアカードを利用する方がほとんどです。例えば、都内の私立の中学・高校に通う際、電車で1時間ほどかけて通うという子どももいます。万が一電車が止まってしまったなど予期せぬトラブルの時を考えて余分にお金を持たせておきたいが、紛失も心配… …というお声もありました。

また、行動範囲も広くなるため、子供同士で「テーマパークへ行きたい!」となった場合に、ある程度の現金を持たせる必要があります。子どもに多めのお金を持たせておく手段として、B/43ジュニアカードが活用されています。現金派で毎回「今日◯◯に行くからお金ちょうだい」というご家庭の場合、急遽友だちとテスト勉強のためにファミレスやカラオケに行くとなった際、その子だけお金の持ち合わせがない状況になることもあります。

そうすると、友だちの間で「奢ってあげるよ」などお金の貸し借りが発生し、後々トラブルになってしまうこともあるんです。親御さんとしては、そうしたトラブルを避けられることに加えて、離れていても必要なときに必要なだけのお金をすぐに送れる手段として、「B/43ジュニアカード」を活用しているそうです。

堀井:B/43ジュニアカードを利用するとスマートフォンに通知が飛んでくるので、親御さんとしてはちゃんとファミレスやカラオケで使ったんだということも分かります。

瀧本:また、こんなケースもあります。今の時代の小学生は当たり前のようにスマートフォンを持っているので、いくらだったらお小遣いを使えるのか確認しながら使うために利用している人もいます。

お財布でお金を管理していると、昨日はお財布の中にいくら入っていて、今日はいくら使ったのかが把握しづらい。気づいたら500円しか残っていなかったということもあります。B/43ジュニアカードを活用することで、いま自分が何にどれくらいのお金を使っているのかが分かるようになる。それも親御さんに期待されている使い方です。

お金に対する興味を醸成、ネット決済を当たり前の社会に

──B/43ジュニアカードをリリースして約8カ月ですが、手応えは感じていますか?

堀井:現状、プロモーション施策は全く打っていないのですが、毎月利用者がじわじわと伸びています。また、毎月の決済金額は当初、お小遣いの金額くらいの数千円と予想していたのですが、その数倍は高かったので驚いているほどです。

瀧本:ユーザーの皆さんからは、カードを持てることが子どもの自律に繋がっているという話はよく聞きます。プリペイドですが、カードを持つことでお金を自分でコントロールして使えるため、少し大人になった気分が味わえるそうなんです。

カード自体は親御さん目線だと「どこかに落としてしまわないか」という不安もあったみたいですが、子どもからするとカードを出すことで自分が大人に近づいた気分になるみたいで、むしろ大事にしている。そういった小さな部分からお金に対する興味、モチベーションをうまく醸成できているのかなと感じます。

──テクノロジーは子どもの金融リテラシー向上にどういった影響を与えると思いますか?

堀井:少し前までは子どもが持てるカードがなかったので、ネットで決済をするときは、親のクレジットカードで買ってもらうしか方法がありませんでした。ただ、B/43ジュニアカードのようなカードがあることで、小さい頃からネットで決済をするのが当たり前になるかもしれません。フリマアプリの登場によってネット上でモノの売買が身近になったように、子どもにとってもネット決済が当たり前になる未来をつくっていけるのではないかと感じています。

また、私たちのサービスを通じてお金の管理もそうですが、お金を貯めて増やしていくことにも寄与できる。海外と比べて、日本は子どもの金融教育はあまり進んでいません。だからこそ、テクノロジーを通じて子どもの頃から金融リテラシーを高めていけるような機会を提供することで、子どもの金融リテラシーが向上していく可能性は十分にあると思います。スマートバンクでも、そういった部分へのアプローチは進めていきたいと考えています。

貯金が難しい人も貯金でき、資産形成できる社会へ

──最後に、日本をより良くするためにFinTech領域で必要なことは何でしょうか。

堀井:まず、日本の課題は大きく2つあります。「少子高齢化の加速」と「若年層の資産形成のハードルの高さ」です。前者の少子高齢化が今後加速することは多くの人が知っていることだと思います。後者については、日本はGDP(国内総生産)が世界3位の経済大国と言われていますが、平均賃金はここ20年くらい全くと言っていいほど上がっていないことが課題です。そのため日本では「老後2,000万円問題」が叫ばれて久しいですが、若年層が資産形成していくのはなかなか難しい環境になっています。

これは投資できるほどのお金の余裕がないこともそうですが、そもそも資産形成の知識がないことも大きな理由です。スマートバンクのサービスを通じて家計管理を始め、貯金が難しい人が貯金できるようになり、金融リテラシーを高めて貯金を投資に繋げることで、資産形成ができるようになる。持たざる人が持つことができ、最終的に資産形成できる社会にしていきたいと思っています。そんな社会を実現するために、プロダクトのラインナップを拡充していくつもりです。

文=新國翔大

編集=福岡夏樹

写真=小田駿一

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