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YOSORO「大谷翔平のようなスターが出てほしい」新たにファンドを立ち上げた鈴木おさむがスタートアップに懸ける期待
「大谷翔平のようなスターが出てほしい」新たにファンドを立ち上げた鈴木おさむがスタートアップに懸ける期待

「大谷翔平のようなスターが出てほしい」新たにファンドを立ち上げた鈴木おさむがスタートアップに懸ける期待

2024.12.03
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『SMAP×SMAP』や『めちゃ²イケてるッ!』など、放送作家として数々のヒット番組を手がけてきた鈴木おさむ氏。32年間、放送作家としてのキャリアを積んできた鈴木氏が「放送作家業を辞めることにしました」とX(旧Twitter)で宣言したのは、2023年10月のこと。

約半年後の、2024年3月末に放送作家を引退した彼が、“次なる挑戦”の場として選んだのが、toC領域のスタートアップに投資するファンドだ。この夏、総額20億円規模のファンド「スタートアップファクトリー」を立ち上げた。

もともと、“エンジェル投資家”として個人でスタートアップに投資してきた鈴木氏だが、なぜ新たにベンチャーファンドを立ち上げることにしたのか。放送作家のキャリアを引退し、50代というタイミングで新たな挑戦を始めた、鈴木氏の胸の内に迫った。

プロフィール

プロフィール

スタートアップファクトリー代表 鈴木おさむ

1972年4月25日生まれ 千葉県千倉町(現 南房総市)出身。19歳の時に放送作家になり、それから32年間、様々なコンテンツを生み出す。詳しくはWikipediaに詳しく書いてあるから見てみよう。コチラ!現在は、「スタートアップファクトリー」を立ち上げ、ベンチャー企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行う。

今から13年前、ネットの世界との出会い

僕は放送作家として、ずっとテレビやラジオを中心にメディア業界で仕事をしてきました。ネットの世界と関わりを持つようになったのは、確か2011年だったと思います。

サイバーエージェントが当時手がけていたモバイルゲーム「私のホストちゃん」を、テレビとガラケーのメディアミックスでドラマをつくることになったんです。

そこでサイバーエージェントの藤田さんとお会いして。ホストのドキュメンタリードラマのようなものをつくったら、けっこう良い結果が出たんです。

サイバーエージェントと密に仕事をするようになって、プロデューサーの人とやり取りするようになったら、ほとんどが20代前半でびっくりしたのを覚えてます。テレビの世界では10年くらい経験を積んだら、ようやくプロデューサーになれるのに、新卒2年目くらいの人がプロデューサーをやっている。テレビとは真逆の世界で驚きましたね。

そこからABEMA(旧Abema TV)の仕事をさせてもらったり、YouTuber事務所・UUUMの顧問を3年やらせてもらったり。振り返ってみると、ネットの世界との交流は割と早いうちから、たくさんあったなと思います。そんな繋がりをきっかけに、オフィスの地下スペースをシェアオフィスにすることにしたんです。

地下のスペースをずっと使っていない話をしたら、サイバーエージェントの谷口くん(常務執行役員の谷口 達彦氏)が「おさむさんの性格的にシェアオフィスとして使ってみたらどうですか?」と言ってくれて。「それは面白いかもしれない」と思って、サイバーエージェントの投資部門の人たちにお願いして、いくつかのスタートアップをつなげてもらい、シェアオフィスとしてスペースを貸し出したんです。

シェアオフィスの名前は「スタジオゴーイングメリー」。スタートアップ版の“トキワ荘”みたいなイメージで、スタートアップやエンターテインメント・マスコミ業界などのいろんな人が集まって交流したり、共創したりする場になっていて。

僕も打ち合わせに参加したり、必要あればエンジェル投資家として投資したりしていました。そういう経験もあってか、スタートアップへの投資は、個人的に身近に感じている部分はあったんです。

50代での新たな挑戦テーマが「スタートアップのためのファンド」だった理由

ファンドを立ち上げようと思ったきっかけは、飲み会の席で知り合いの起業家から「ファンドを本気でやらないんですか?」と言われて、「自分に合ってるかもしれない」と思ったからです。個人での投資とファンドの立ち上げは責任の重さが異なります。

人様のお金をお預かりしてスタートアップに投資していくので、自分の人生をかけてやっていかなければいけない。相当の覚悟と責任がいります。

最初からファンドを立ち上げる考えがあったわけではないですが、toC向けのビジネスを展開する起業家と話をすると、toC向けのビジネスに投資してくれるファンドが少なく、多くの人が資金調達まわりで困っているというんです。

エンジェル投資家を中心に資金調達するしかないみたいで、苦しんでいるという話を聞き、僕の経験をもとに何か起業家の方たちをサポートしてあげられることはないかなと思ったんです。

僕は放送作家として仕事をしてきた中で、エンターテインメントを中心にtoC向けビジネスの情報量は誰にも負けないくらい持っていると思いますし、それが武器です。また、いろんな人とのつながりもあり、そのつながりも生かすこともできます。

エンターテインメント領域だけでもショートドラマや音声など、たくさんの事業アイデアがある。toC向けビジネスで言えば、美容や食品、旅行なども含まれてくるので、いろんなアイデアがあると思うのですが、なかなか光が当たっていない。

自分は誰よりもエンターテインメントに詳しく、toC向けビジネスに関する情報も豊富に持っているからこそ、なかなか光が当たっていないところにも光を当てられると思っています。

ファンドを立ち上げる構想をサイバーエージェントの藤田さん、MIXIの笠原さんの2人に相談したら、すぐに「いいですね」と言ってもらえたのは僕にとっても大きかったですね。2人の後押しもあって、スタートアップファクトリーを立ち上げる気持ちが固まりました。

40代の頃から、50代をどうやって生きるか。何か新しい挑戦をするべきではないか、という思いを持っていたんです。僕が尊敬する秋元康さんや糸井重里さんは、50代になってから新しい挑戦をしています。

秋元さんは47歳でAKB48を立ち上げて、50歳のタイミングでは軌道に乗せて、新しい音楽ビジネスのモデルを生み出しました。また糸井さんは50歳のタイミングで『ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)』を立ち上げています。

僕の中では、2016年にずっと一緒に仕事をさせてもらっていたSMAPが解散し、仕事にアドレナリンが出づらくなっていたんですよね。放送作家を引退する決意して、人生をワクワクさせるものを探す中で僕にとって50代での新しい挑戦のテーマとして「スタートアップの育成」がすごくマッチしているなと感じて。それでスタートアップファクトリーというファンドを立ち上げることにしました。

時代を変えるような若いスターが出てくれば、日本も変わる

ソフトバンクやサイバーエージェントだって、昔はスタートアップだったことを考えると、どのスタートアップにだって大きく成長する可能性はあります。

昔と比べて、情報量も格段に増えています。お笑い芸人やヒップホップ、ダンスなどもそうですが、お手本となるような人たちがいることで、一気にレベルが上がっていった。スタートアップも同じです。

今はお手本となるような人たちも増えていますし、起業のノウハウも調べたらたくさん出てきます。中学生でも起業できる時代になってますから、これからスタートアップのレベルも一気に上がっていくんじゃないかと思います。

やっぱり、お手本が多いところは確実に発展しているので、そういう意味ではスタートアップ業界も分母がどんどん広がっているので、可能性だらけですよ。

スタートアップ業界から、時代を変えるような若いスターが出てきてほしいなと思います。日本をより良くしていくためには、元気な人が出てくることが大事です。

政治に関する議論を見るよりも、大谷翔平くんの活躍を見た方が日本全体が元気になるじゃないですか。大谷くんのようなスターがスタートアップ業界からも生まれてほしいですよね。

僕らの年代で言えば、堀江さんや藤田さんが出てきたことで、間違いなく時代は変わりました。やっぱりスターがでてこないと時代は変わっていかないので、若い世代のスター起業家が生まれたら、日本を変えていけるような気がするんです。

年配者が幅を利かせがちな日本において、企業だけが平等で「売上」や「利益」という結果を出せば、スターになれる。ただ注目を浴びるだけじゃなくて、きちんと結果を出すことが大事になるので、今後はそういう起業家を生み出す支援をしていきます。

構成=新國翔大

写真=小田駿一

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